はじめに

札幌市では観光需要やインバウンド回復に伴い、民泊施設の数が増加しています。しかし一方で、騒音や近隣トラブル、消防法令違反、営業日数制限の誤解など、運営に伴う課題も報告されています。これらの問題は「民泊を気軽に始められる」といった印象とは裏腹に、法律や条例を正しく理解していなかったことから生じるケースが多いのです。今回は、札幌市の民泊に関する代表的なトラブル事例を紹介し、行政書士としてできるサポートについて解説します。


札幌市で実際に見られるトラブル事例

1. 騒音など近隣住民からの苦情

北海道新聞によると、道内の民泊施設は前年比25%増、利用者数は1.8倍に増加しました。その一方で、中央区などの集合住宅では、宿泊者の深夜利用や共用スペースでの騒ぎが問題となり、近隣住民から苦情が寄せられるケースが出ています。 (北海道新聞)

2. 消防法令違反の多発

札幌市の消防局は、民泊施設で特に多い法令違反として以下を挙げています。(札幌市消防局)

  • 消防用設備等点検の未報告
  • 防火管理者の未選任
  • 自動火災報知設備や誘導灯などの未設置

これらは届出済み住宅でも多く見られ、安全性を大きく損なう要因となっています。

3. 年間180日の営業制限の誤解

住宅宿泊事業法(民泊新法)では、営業可能日数が年間180日以内と制限されています。札幌市内の一部では、マンスリーマンションと民泊を併用する「ハイブリッド運用」が取り入れられていますが、この方式がすべての物件に適用できるわけではなく、誤解から違反につながる事例もあります。


トラブル事例から学ぶ注意点

トラブル主な原因対策
騒音・近隣苦情宿泊者へのルール未提示、夜間管理不足ハウスルール作成、使用時間制限、宿泊者説明
消防法令違反設備の未設置、点検・報告の不備消防署と事前相談、必要設備の設置、定期点検
営業日数制限違反法制度の誤解、運営形態に合わない届出法令確認、行政書士による届出内容の最適化

行政書士ができるサポート

民泊運営におけるリスク回避には、事前準備と制度理解が欠かせません。行政書士は以下の点でサポートが可能です。

  • 民泊届出書類の作成・提出代行
  • 消防署・保健所との事前調整
  • 年間営業日数ルールに基づいた適切な運営プラン設計
  • ハウスルールや利用規約の作成支援
  • 無届け・違反運営のリスク診断

まとめ:安心して民泊を運営するために

札幌市における民泊トラブルは、事業者自身の認識不足や法令違反から発生しているケースが多く見られます。安心・安全に運営を続けるためには、「法令遵守」と「近隣住民への配慮」 が不可欠です。

行政書士は、書類作成や制度理解のサポートを通じて、民泊事業を安心して始められるようお手伝いできます。これから札幌市で民泊を検討される方は、ぜひ一度ご相談ください。


出典

  • 北海道新聞「民泊、道内で広がる〜トラブルも」(記事リンク)
  • 札幌市消防局「民泊で特に多い消防法令違反について」(公式サイト)

行政書士 加藤昌史事務所