札幌市では観光需要の高まりとともに「民泊」のニーズが増加しています。
しかし、民泊を始めるにあたって「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)」と「旅館業法」の違いを正しく理解していないと、思わぬトラブルや行政処分のリスクがあります。
この記事では、札幌市で民泊を運営したい方向けに、両制度の違いと注意点を行政書士の視点からわかりやすく解説します。
【1. 民泊を規定する2つの法律】
民泊を運営する際は、主に以下の2つの法律のいずれかに基づく必要があります。
項目 : 住宅宿泊事業法(民泊新法) 旅館業法
主な対象 : 個人の住宅を活用した短期宿泊 商業施設としての宿泊事業
営業日数制限 : 年間180日以内 制限なし
届出・許可 : 届出制(札幌市保健所へ届出) 許可制(札幌市保健所へ許可申請)
主な施設要件 : 住宅であること、衛生管理、避難経路等 構造設備・衛生面の基準を満たす必要
管理者の要件 : 不在型は管理業者委託必須 施設管理者の常駐が原則
行政監督 : 札幌市(保健所・観光部門) 札幌市保健所(旅館業担当)
【2. 住宅宿泊事業法(民泊新法)の特徴】
2018年に施行された住宅宿泊事業法は、一般の住宅でも一定条件のもとで民泊を行えるようにした制度です。
札幌市でも、特区民泊ではなくこの住宅宿泊事業法に基づく届出型民泊が主流です。
主なポイント
年間180日以内の営業制限
近隣住民への事前説明が必要(騒音・ゴミ出しトラブル防止)
不在型運営では、住宅宿泊管理業者(国の登録業者)への委託が必須
届出先:札幌市保健所 衛生管理課
【3. 旅館業法に基づく民泊の特徴】
一方、旅館業法は本来「ホテル」や「旅館」などを対象としていますが、条件を満たせば戸建てやアパートの一室でも申請可能です。
営業日数の制限がなく、通年で宿泊サービスを提供できる点が大きなメリットです。
主な要件
建物の構造設備(トイレ・浴室・玄関など)が法基準に適合
消防法に基づく防火・避難対策の実施
衛生管理・清掃体制の確保
許可後も定期的な保健所の立入検査あり
【4. 札幌市での実務的な違い】
札幌市では、住宅宿泊事業法による民泊届出は比較的容易ですが、旅館業法に基づく営業許可は建物用途変更や消防設備改修が必要なケースが多く、初期コストが高くなりがちです。
一方で、旅館業法で許可を取得すれば、年間を通して安定的な収益が見込めるという利点もあります。
【5. 行政書士によるサポート】
行政書士は以下のような形で民泊開業をサポートできます。
住宅宿泊事業法の届出書類作成・提出代行
旅館業法に基づく営業許可申請書作成
消防署・保健所との事前協議サポート
管理業者との契約書作成、運営体制整備の支援
札幌市では条例や地域によって運用が異なるため、専門家のサポートによる正確な手続きが重要です。
【まとめ】
| 比較項目 | 民泊新法 | 旅館業法 |
|---|---|---|
| 手続き | 届出制(比較的簡単) | 許可制(要審査) |
| 営業制限 | 年180日以内 | 制限なし |
| 初期コスト | 低い | 高い |
| 向いている人 | 副業・空き家活用 | 本格的な宿泊業経営 |
【札幌市公式情報リンク】
行政書士 加藤昌史事務所では、札幌市厚別区を中心に民泊届出・許可申請のサポートを行っています。
初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。