「札幌市でマンションを購入して民泊を始めたい」
「自分が所有している部屋なら、自由に民泊として使える?」
「賃貸マンションでも、大家さんの許可があれば民泊できる?」
札幌市で民泊を検討している方からすると、マンションの一室は戸建てより取得・賃借しやすく、民泊物件の候補になりやすいでしょう。
しかし、マンションの一室を持っている、あるいは借りられるからといって、そのまま民泊営業ができるわけではありません。
住宅宿泊事業法に基づく民泊では、戸建住宅だけでなくマンションなどの共同住宅も対象になり得ます。もっとも、実際にマンションで民泊を始めるには、住宅宿泊事業の要件だけでなく、管理規約、賃貸借契約、札幌市の営業制限、消防法令、建物全体への影響などを確認する必要があります。
不動産管理会社で20年以上、入居者対応、リーシング、契約、クレーム対応、オーナー対応などに携わってきた経験から特にお伝えしたいのは、
「部屋単体ではなく、建物全体を見ること」
です。
この記事では、札幌市でマンションの一室を民泊にしたい方に向けて、契約前・購入前に確認したいポイントを、不動産管理の現場経験を踏まえて行政書士がわかりやすく解説します。
札幌市のマンションで民泊はできる?
結論からいうと、条件を満たせばマンションの一室で住宅宿泊事業法に基づく民泊を行える場合があります。
ただし、
「マンションだからできる」
「自分の所有物件だからできる」
「大家さんから民泊可と言われたからできる」
という単純な判断はおすすめできません。
マンション民泊では、少なくとも次の点を確認します。
- 住宅宿泊事業法上の要件
- 札幌市条例による営業制限
- 分譲マンションの管理規約
- 賃貸物件の場合の賃貸借契約・所有者承諾
- 消防法令
- 建物全体の消防設備
- 家主不在型の場合の管理方法
- ゴミ・騒音など近隣への対応
住宅宿泊事業法による営業日数は1年間で最大180日です。また札幌市では、家主不在型など一定の場合、学校周辺や住居専用地域等でさらに営業日数が制限される区域があります。
したがって、
「このマンションで民泊ができるか」
を判断するときは、建物の所在地から確認を始める必要があります。
分譲マンションは管理規約の確認が最優先
自分が所有するマンションでも、民泊を自由に始められるとは限りません。
マンションには専有部分だけでなく、廊下、エントランス、エレベーターなどの共用部分があります。
そして区分所有者は、マンションの管理規約に従う必要があります。
国土交通省は住宅宿泊事業法の成立を受け、マンション標準管理規約について、住宅宿泊事業を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例を示しています。民泊を認めるか否かについて、管理組合であらかじめ方針を明確化することが望ましいとの考え方です。
そのため中古マンションを購入して民泊を始めようとしている場合には、購入前に管理規約を確認することが非常に重要です。
【不動産管理の現場から】
マンションは「部屋を買う」という感覚が強いですが、実際には共同生活のルールがある建物の一室を所有するという側面があります。
民泊になると、普段その建物に住んでいない宿泊者が、
- エントランス
- オートロック
- エレベーター
- 廊下
- ゴミ置場
- 駐車場
などを利用することになります。
管理会社の立場で考えると、これは他の居住者にとって小さくない変化です。
ですから、
「自分の専有部分だから自由に使える」
だけではなく、
「建物全体として民泊利用をどう扱っているか」
を見ることが重要です。
管理規約のどこを確認すればいい?
まず確認したいのが、専有部分の用途に関する条項です。
例えば、
- 住宅として使用する
- 住宅宿泊事業を禁止する
- 不特定多数を宿泊させる営業を禁止する
といった規定がないか確認します。
さらに、規約本文だけでなく、
- 使用細則
- 管理組合の総会議事録
- 理事会の運用
- 民泊に関する別途ルール
なども確認した方がよいケースがあります。
規約だけ読んでも判断がつかない場合は、管理会社や管理組合へ確認することも重要です。
「規約に民泊禁止と書いていないから大丈夫」は危険?
慎重に考えるべきです。
規約に「民泊禁止」という言葉が見当たらないからといって、直ちに問題なく実施できるとは限りません。
マンションごとに規約や運用が異なるため、実際に住宅宿泊事業を認めているのかを確認することをおすすめします。
賃貸マンションはオーナーの承諾を確認
マンションの一室を借りて民泊をする、いわゆる賃貸物件を利用した民泊では、さらに注意が必要です。
通常の居住用賃貸借契約では、使用目的が「住居」とされていたり、無断転貸や第三者への使用を禁止していたりすることがあります。
住宅宿泊事業の届出でも、賃貸住宅や転貸住宅については、賃貸人等が住宅宿泊事業として使用することを承諾していることを確認する書類が問題になります。
したがって、
「普通に部屋を借りて、あとから民泊にする」
という進め方は避けた方が安全です。
【20年以上の賃貸管理経験から】
管理会社の実務では、物件の使用目的はとても重要です。
同じ1LDKでも、
「本人が住む」
のと、
「毎日のように違う宿泊者が出入りする」
のでは、オーナーや管理会社が想定する管理リスクが違います。
民泊では特に、
- 鍵の受け渡し
- 共用部への立入り
- ゴミ出し
- 深夜の騒音
- 宿泊者の入替
- 外国人宿泊者へのルール説明
などが問題になりやすいため、民泊利用についてオーナーと認識を合わせることが重要です。
口頭で「いいですよ」と言われただけで進めるのではなく、承諾内容を書面で明確にしておくことをおすすめします。
「民泊可マンション」なら、そのまま営業できる?
不動産会社から、
「このマンションは民泊可です」
「民泊相談可能です」
と紹介されることがあります。
もちろん有力な候補にはなります。
しかし、
不動産上の「民泊可」と、行政手続き上そのまま営業できることは同じではありません。
例えば、
不動産オーナー → 民泊利用OK
管理規約 → 民泊OK
だったとしても、
消防 → 設備確認が必要
札幌市条例 → 所在地によって営業日制限あり
住宅宿泊事業法 → 届出要件の確認が必要
ということがあります。札幌市では家主不在型などについて地域による営業制限があり、また住宅宿泊事業開始に際して消防法令適合通知書の提出を求めています。
つまり、
「民泊可」=「今日から営業できる」ではありません。
この違いは必ず理解しておきましょう。
マンション民泊では消防確認が特に重要
マンション民泊で特に注意したいのが消防です。
札幌市消防局は、住宅宿泊事業を開始する場合、管轄消防署から消防法令適合通知書の交付を受け、住宅宿泊事業の届出が受理される前に提出するよう案内しています。
消防法令適合通知書の申請では、札幌市の案内上、
- 付近見取図
- 建物立面図
- 各階平面図
などが添付書類として挙げられています。提出先は、対象建物がある区の所轄消防署予防課です。
なぜマンション民泊は消防が複雑なのか?
共同住宅で民泊を始める場合、消防法令上は民泊を行う住戸だけでなく、建物全体の用途判定に影響する可能性があります。
消防庁の資料では、共同住宅で民泊を行う住戸について、家主が不在になるか、宿泊室面積などによって消防法令上の用途を判断し、その結果によって建物全体の消防法令上の用途も変わり得ることが示されています。
ここが戸建て民泊と大きく違うところです。
一室だけの民泊でも建物全体を見る
例えば20戸あるマンションのうち、1戸だけで民泊を始めるとします。
事業者からすると、
「20戸のうち1戸だけだから、それほど影響しないだろう」
と思うかもしれません。
しかし消防は、民泊を行う部屋だけを切り離して見るとは限りません。
共同住宅の中に宿泊施設と同様に扱われる住戸が入ることで、建物全体について消防法令上の確認が必要になる場合があります。消防庁資料でも、宿泊施設用途となる住戸の割合によって、建物全体が共同住宅、複合用途、宿泊施設として扱われる場合があることが示されています。
【ビル・マンション管理の現場から】
建物管理の仕事をしていると、
「自分の区画だけの工事だから関係ない」
と思っていた変更が、建物全体の設備に影響することがあります。
これはテナント入替でも同じです。
一室の使い方が変われば、
- 消防
- 避難経路
- 共用設備
- オートロック
- ゴミ管理
など、他の部分との関係を確認しなければなりません。
マンション民泊でも、専有部分だけを見て判断しないことが大切です。
消防設備工事はオーナーや管理組合との調整も考える
消防確認の結果、設備への対応が必要になる場合があります。
そのとき大切なのが、
「設備を付ければ終わり」ではない
という点です。
マンションでは、工事内容によって、
- 共用部分に影響しないか
- 管理組合の工事承認が必要ではないか
- 配線経路はどうするか
- 建物既存の消防設備とどう関係するか
などの検討が必要になる可能性があります。
物件を借りた後に、
「消防設備工事をしたいのですが」
とオーナーへ相談して、そこで初めて話が止まることは避けたいところです。
消防設備の確認も、できるだけ契約・購入前に進める。
これが実務上重要です。
家主不在型民泊では管理体制も確認
投資用マンションの一室を民泊にする場合、多くの方が想定するのは、自分自身はその部屋に住まない運営でしょう。
住宅宿泊事業法では、家主不在型など一定の場合、住宅宿泊管理業者への管理業務の委託が必要になります。
また、札幌市の条例による営業日数の追加制限も、家主不在型など一定の場合が対象となります。家主居住型については、札幌市の当該区域制限の対象外とされています。
したがって、
「マンションを買ってAirbnb等に掲載すれば完成」
というものではありません。
誰が、
- 宿泊者へルールを説明するのか
- 苦情に対応するのか
- 緊急時に対応するのか
- 建物内のルールを守らせるのか
といった管理体制も事前に考えておく必要があります。
不動産管理の現場から見たマンション民泊のトラブル
マンション民泊で特に想定しておきたいのが、近隣住民とのトラブルです。
1.騒音
宿泊者は、そのマンションで毎日生活している住民とは生活時間が異なることがあります。
深夜の会話、テレビ、室内での飲食などが苦情につながる可能性があります。
2.ゴミ出し
マンションにはそれぞれゴミ出しのルールがあります。
曜日や分別方法を知らない宿泊者が、ゴミ置場を正しく利用できない可能性もあります。
3.オートロック・鍵
鍵の受け渡し方法によっては、防犯面を心配する居住者が出ることがあります。
4.共用部の利用
宿泊者がエントランスや廊下で大きな声を出したり、荷物を置いたりすれば、他の入居者から苦情が入る可能性があります。
5.管理会社への問い合わせ
宿泊者が設備トラブル等について管理会社へ直接問い合わせることも考えられます。
【管理会社でクレーム対応をしてきた経験から】
騒音やゴミなどの問題は、設備故障のように
「修理して終わり」
とはいきません。
一度、
「あの部屋の民泊は迷惑だ」
という認識が広がると、事業者と住民、管理組合、管理会社との関係が悪化する可能性があります。
クレーム対応で大切なのは、
早い初動、事実確認、記録を残すこと
です。
不動産管理の現場でも、電話だけで終わらせず、日時・内容・対応結果を記録することが基本になります。
民泊でも、苦情が起きてから対応方法を考えるのではなく、開業前に対応ルールを作っておくことをおすすめします。
札幌市でマンション民泊をする前のチェックリスト
マンションを購入・賃借する前に、次の項目を確認してみてください。
- 札幌市の条例による営業制限区域を確認した
- 住宅宿泊事業法上の住宅要件を確認した
- 分譲マンションの管理規約を確認した
- 使用細則等も確認した
- 管理組合の民泊に対する方針を確認した
- 賃貸の場合、オーナーが民泊利用を承諾している
- 賃貸借契約の使用目的・転貸条項を確認した
- 管理会社へ必要な確認をした
- 消防署への事前相談を検討した
- 建物全体の消防設備について確認した
- 必要な消防設備工事を確認した
- 工事について管理組合・オーナーの承認が必要か確認した
- 家主居住型・家主不在型を整理した
- 管理業者への委託が必要か確認した
- ゴミ出し方法を決めた
- 騒音対策を決めた
- 鍵の管理方法を決めた
- 苦情・緊急時の連絡体制を決めた
- 消防設備費等を含めて収支を再計算した
「民泊可」と言われたマンションでも、このチェック項目を一つずつ確認していくことが重要です。
中古マンション購入前に確認する順番
特に民泊目的でマンションを購入する場合は、順番が重要です。
おすすめする流れは、
①候補物件を見つける
↓
②所在地・札幌市の営業制限を確認
↓
③管理規約・使用細則を確認
↓
④管理組合・管理会社の方針を確認
↓
⑤消防上の確認
↓
⑥必要設備・工事費を確認
↓
⑦管理方法を検討
↓
⑧収支計画を再計算
↓
⑨購入を最終判断
です。
逆に、
購入→家具購入→民泊届出を調査→管理規約・消防で問題発覚
という順番は避けたいところです。
【不動産実務で大切にしている考え方】
不動産では、
「契約した後にできること」と「契約する前にしかできないこと」
があります。
契約後でも行政手続きを調べることはできます。
しかし、
「問題があるならこの物件を買わない」
という最も大きな選択肢は、購入前にしか使えません。
だからこそ民泊では、
行政手続きを契約後の作業ではなく、物件選定の材料として使う
ことが大切だと考えています。
行政書士へマンション購入前から相談するメリット
行政書士への相談というと、
「マンションを購入したので民泊届出をお願いします」
というタイミングを想像するかもしれません。
しかし、民泊ではもっと早い段階から確認する価値があります。
例えば、
「このマンションを購入しようと思っている」
「不動産会社から民泊可と言われている」
「管理規約を見ても判断できない」
「消防確認をどこから始めればよいかわからない」
という段階です。
行政手続きの観点から確認事項を整理しておけば、購入後に「知らなかった」というリスクを減らすことができます。
当事務所では、不動産管理会社で20年以上勤務してきた経験から、
行政への届出だけでなく、オーナー・管理会社・管理組合・入居者という不動産関係者の視点も踏まえて考える
ことを大切にしています。
まとめ|札幌市のマンション民泊は「一室ではなく建物全体」で考える
札幌市でマンションの一室を民泊にすることは、条件を満たせば可能な場合があります。
ただし確認すべきことは少なくありません。
特に重要なのは、
- 札幌市条例による営業制限
- マンション管理規約
- 賃貸借契約・オーナー承諾
- 消防法令適合通知書
- 建物全体の消防設備
- 家主不在型の場合の管理体制
- 騒音・ゴミ・鍵などの管理
- 管理組合・他の居住者への配慮
です。
マンション民泊で最も避けたいのは、
「物件を購入・契約してから、民泊として使えないことがわかる」
ことです。
民泊物件は、
契約してから確認するのではなく、確認してから契約する。
そしてマンションの場合は、
「自分の部屋だけでなく、建物全体を見る」。
この2点が重要です。
札幌市でマンションを購入・賃借して民泊を検討しており、
「このマンションで民泊できるのかわからない」
「管理規約をどう確認したらいい?」
「消防署への相談はどの段階ですればいい?」
という場合には、物件契約前の段階からご相談ください。
行政書士 加藤昌史事務所では札幌市を中心にご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
Q1.札幌市のマンションなら民泊できますか?
マンションだから一律にできるわけではありません。住宅宿泊事業法、札幌市条例、管理規約、賃貸借契約、消防などを個別に確認する必要があります。
Q2.自分で所有しているマンションなら自由に民泊できますか?
所有物件であってもマンション管理規約等を確認する必要があります。国土交通省も住宅宿泊事業を認める場合と禁止する場合の双方についてマンション標準管理規約の規定例を示しています。
Q3.管理規約に「民泊禁止」と書いていなければできますか?
その記載だけで判断することはおすすめできません。管理規約・使用細則・管理組合の方針等を確認し、住宅宿泊事業を認めているか確認することが重要です。
Q4.賃貸マンションを借りて民泊できますか?
可能な場合はありますが、賃貸借契約、所有者の承諾、マンション管理規約、消防などの確認が必要です。通常の居住用賃貸借契約のまま自己判断で始めるのは避けましょう。
Q5.マンションの一室だけでも消防署への確認は必要ですか?
札幌市では住宅宿泊事業開始時に消防法令適合通知書の取得・提出が案内されています。また共同住宅では、民泊住戸の消防法令上の用途によって建物全体への影響を確認する必要がある場合があります。
Q6.消防法令適合通知書はどこで申請しますか?
札幌市では、民泊を行う建物が所在する区の所轄消防署予防課が窓口です。付近見取図、建物立面図、各階平面図などが案内されています。https://www.city.sapporo.jp/keizai/kanko/minpaku/ichiran.html?utm_source=chatgpt.com
Q7.民泊目的で中古マンションを購入する前でも相談できますか?
はい。むしろ購入前に、管理規約、札幌市の営業制限、消防などの確認項目を整理しておくことが重要です。購入後に問題が判明するリスクを減らすことにつながります。
札幌市でマンションの一室を民泊にできる?分譲・賃貸マンションで民泊を始める前に確認したい管理規約、オーナー承諾、消防法令適合通知書、消防設備、近隣トラブル対策を、不動産管理経験20年以上の行政書士が実務目線で解説します。