「札幌市で民泊を始めたいけれど、どんな物件を選べばいい?」

「賃貸マンションでも民泊はできる?」

「民泊可と書いてある物件なら、そのまま営業できる?」

札幌市で民泊を始めようとすると、最初にぶつかるのが物件選びです。

札幌駅や大通、すすきの周辺など、宿泊需要が期待できるエリアを探すことも重要ですが、民泊物件では立地・家賃・間取りだけで判断するのはおすすめできません。

なぜなら、住宅宿泊事業法上の要件だけでなく、札幌市の条例、賃貸借契約、マンション管理規約、消防設備など、複数の条件をクリアする必要があるからです。

私は不動産管理会社で20年以上、賃貸管理・リーシング・オーナー対応などの実務に携わってきました。

その経験から民泊を検討する方に特にお伝えしたいのは、

「良い物件を見つけること」と「民泊に使える物件を見つけること」は別

ということです。

この記事では、札幌市で民泊物件を探している方に向けて、契約前に確認しておきたい7つのポイントを、不動産管理の実務経験を持つ行政書士がわかりやすく解説します。

目次 [ close ]
  1. 札幌市ではどんな住宅でも民泊にできる?
    1. 【不動産管理の現場から】
  2. ポイント① 住宅宿泊事業法上の「住宅」に該当するか
  3. ポイント② 札幌市の営業制限区域を確認する
    1. 【現場経験からのポイント】
  4. ポイント③ 賃貸借契約で民泊が認められているか
    1. 【20年以上の賃貸管理経験から】
  5. ポイント④ マンション管理規約で禁止されていないか
    1. 【不動産購入で特に注意したい点】
  6. ポイント⑤ 消防設備を確認する
    1. 【管理実務の視点】
  7. ポイント⑥ 家主不在型か家主居住型か
  8. ポイント⑦ 管理・近隣対応まで考えられる物件か
    1. 【不動産管理会社でクレーム対応をしてきた経験から】
  9. 札幌市の民泊物件でよくある失敗
  10. 「民泊可物件」という言葉だけで判断しない
  11. 民泊物件契約前チェックリスト
  12. 行政書士に物件契約前から相談するメリット
  13. まとめ|札幌市の民泊は「物件選び」で成否が変わる
  14. よくある質問(FAQ)
    1. Q1.札幌市なら、どの地域でも民泊できますか?
    2. Q2.札幌市の賃貸マンションでも民泊できますか?
    3. Q3.自分で所有しているマンションなら民泊できますか?
    4. Q4.「民泊可物件」なら安心して契約していいですか?
    5. Q5.民泊物件を契約する前に消防署へ相談できますか?
    6. Q6.民泊物件を探している段階でも行政書士に相談できますか?

札幌市ではどんな住宅でも民泊にできる?

結論からいうと、住宅であれば何でも住宅宿泊事業法の民泊に使えるわけではありません。

まず住宅宿泊事業法上の「住宅」に該当する必要があります。

さらに札幌市では、家主不在型など一定の民泊について条例による営業日数の制限があります。

そして実際に営業するためには、

  • 物件の権利関係
  • 賃貸借契約
  • マンション管理規約
  • 消防法令
  • 建物の設備
  • 管理方法

なども確認しなければなりません。

つまり物件情報に、

「民泊相談可」

などと書かれているだけで、行政上の手続きまで問題なく進められるとは限らないのです。

【不動産管理の現場から】

賃貸物件の募集では、「入居できるか」と「その用途で問題なく使えるか」は別問題です。

例えば普通の事務所なら問題がなくても、飲食店になれば排気・給排水・消防など別の問題が出てきます。

民泊も同じです。

不動産として借りられるかだけではなく、

「この建物を、この営業方法で民泊として使えるのか」

まで確認する必要があります。

ここを契約前に確認できるかどうかが非常に重要です。

ポイント① 住宅宿泊事業法上の「住宅」に該当するか

住宅宿泊事業法による民泊を行うためには、使用する建物が同法上の「住宅」の要件を満たす必要があります。

したがって、

「空いている建物があるから民泊にしよう」

と考えても、その建物の状況によっては住宅宿泊事業法による民泊として進められない可能性があります。

物件探しの段階から、

どの制度を使って宿泊事業を行うのか

を整理しておくことが重要です。

なお、住宅宿泊事業法による民泊と旅館業法による簡易宿所営業などは別制度です。

「年間を通して営業したい」など事業計画によっては、そもそも住宅宿泊事業法による民泊が適しているかというところから検討する必要があります。

ポイント② 札幌市の営業制限区域を確認する

札幌市で民泊物件を探す際に、非常に重要なのが所在地です。

住宅宿泊事業法による民泊は年間180日が上限ですが、札幌市では条例によって、家主不在型など一定の民泊についてさらに営業日数が制限される区域があります。

代表的なのが、

  • 小中学校等の敷地の出入口周辺100m
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • これらに準ずる地域

などです。

しかも学校周辺については、札幌市が区ごとの制限区域図を公表しています。

民泊事業では、

「札幌市内だから同じ条件」ではありません。

住所によって営業できる日が変わる可能性があります。

【現場経験からのポイント】

不動産の収益性を考えるときは、家賃だけを見るのでは不十分です。

例えば、

物件A:家賃8万円だが営業日の制限が大きい

物件B:家賃10万円だが営業計画を立てやすい

という場合、家賃だけならAが安く見えます。

しかし民泊事業としてどちらが有利かは別問題です。

不動産では「安い物件=収益性が高い物件」とは限りません。

民泊の場合は特に、契約前に営業可能日まで確認したうえで収支計画を作ることが重要です。

ポイント③ 賃貸借契約で民泊が認められているか

賃貸マンション・アパート・戸建てを借りて民泊を行う場合には、賃貸借契約の確認が欠かせません。

一般的な居住用賃貸借契約では、

  • 使用目的
  • 転貸
  • 第三者の使用
  • 禁止事項

などが定められています。

そのため、

「借りた部屋なのだから自由に使える」

とは限りません。

民泊利用について賃貸人等の承諾が必要となる場合には、適切に承諾関係を整える必要があります。

【20年以上の賃貸管理経験から】

ここは非常に重要です。

管理会社側からすると、借主本人が生活する通常の居住用賃貸と、不特定の宿泊者が出入りする民泊では、管理上の意味がまったく同じとはいえません。

例えば、

  • 騒音
  • ゴミ出し
  • 共用部の使い方
  • 鍵の管理
  • オートロック
  • 他の入居者からの苦情

など、通常の賃貸管理とは違った問題が発生する可能性があります。

「オーナーには話してあります」という口頭確認だけではなく、誰が・どのような条件で民泊利用を承諾しているのかを書面で明確にすることが、後々のトラブル防止につながります。

ポイント④ マンション管理規約で禁止されていないか

分譲マンションの場合には、所有者本人の意思だけでは決められないことがあります。

マンションには管理規約があるからです。

住宅宿泊事業が管理規約で禁止されている場合には、自分の所有する部屋であっても自由に民泊として利用できるとは限りません。

特に、

「民泊をするために中古マンションを購入する」

場合は注意が必要です。

購入して所有権を取得してから管理規約を確認するのでは遅すぎます。

購入申込みをする前に、管理規約や管理組合の方針を確認しましょう。

【不動産購入で特に注意したい点】

賃貸なら、条件が合わなければ別の物件を探すという選択肢があります。

しかし購入物件では簡単ではありません。

民泊目的で購入したのに民泊ができなければ、事業計画そのものを変更しなければならなくなる可能性があります。

「購入してから行政書士に相談」ではなく、「購入するか判断するために事前確認」

という使い方をおすすめします。

ポイント⑤ 消防設備を確認する

民泊物件選びで、収支に大きな影響を与える可能性があるのが消防設備です。

消防法令上の取扱いは、

  • 一戸建て・共同住宅
  • 家主の在・不在
  • 宿泊室の床面積
  • 建物の規模
  • 階数

などによって変わります。

条件によっては、

  • 自動火災報知設備
  • 特定小規模施設用自動火災報知設備
  • 誘導灯
  • 消火器
  • 防炎物品

などへの対応が必要になる場合があります。

札幌市消防局も、アパートやマンションなどで民泊を行うことによって消防法令違反となるケースが多いと注意喚起しています。

【管理実務の視点】

民泊物件を探している方には、ここを特に強くお伝えしたいです。

消防設備は、

「必要書類が1枚増える」程度の問題ではありません。

設備工事が必要になれば、

  • 工事費
  • 工事期間
  • オーナー承諾
  • 管理組合との調整
  • 共用部分への影響

まで考えなければならない可能性があります。

家賃が安く、立地も良い。

しかし消防対応に大きな費用が必要になる。

そうなると、物件としての評価は変わります。

だからこそ、民泊の消防確認は契約前に行うことが重要なのです。

ポイント⑥ 家主不在型か家主居住型か

民泊では、宿泊者がいる間に家主が不在になるかどうかも重要です。

家主不在型の場合には、一定の場合を除いて住宅宿泊管理業者への管理業務の委託が必要となります。

また札幌市条例による営業日数の追加制限についても、家主不在型など一定の事業が対象です。

さらに消防法令上の取扱いにも家主の在・不在が関係します。

したがって物件選びを始める前に、

「自分も住む民泊なのか」

「完全な投資物件として運営するのか」

を決めておく必要があります。

ポイント⑦ 管理・近隣対応まで考えられる物件か

最後は、許認可だけではなく運営です。

住宅宿泊事業者には、周辺地域の生活環境への悪影響を防止するため、宿泊者に対して騒音、ごみ処理、火災防止など必要な事項を説明し、近隣からの苦情や問い合わせにも速やかに対応することが求められています。

物件選びの段階で、

  • ゴミをどう管理するか
  • 深夜の騒音を防げるか
  • 共用部でトラブルにならないか
  • 緊急時に誰が対応するか
  • 鍵をどう管理するか

まで考えておきたいところです。

【不動産管理会社でクレーム対応をしてきた経験から】

不動産管理では、設備故障よりも人と人とのトラブルの方が解決に時間がかかることがあります。

特に騒音やゴミ問題は、一度近隣住民との関係が悪くなると簡単には元に戻りません。

民泊事業では「泊まる人」だけを見るのではなく、

「同じ建物で生活している人」

「近隣に住んでいる人」

まで含めて運営を考えることが大切です。

これは、届出書だけを見ていては分かりにくい、不動産管理の重要な視点です。

札幌市の民泊物件でよくある失敗

民泊物件を探す際には、次のような順番にならないよう注意してください。

物件発見

収益シミュレーション

申込み

賃貸借契約

家具購入

行政手続きを調査

問題発覚

この順番はリスクがあります。

例えば、

「管理規約で民泊禁止だった」

「札幌市の営業制限を知らなかった」

「消防設備に想定外の費用が必要だった」

「賃貸人の承諾が得られなかった」

となれば、それまでの時間と費用が無駄になる可能性があります。

おすすめするのは、

候補物件を探す

民泊利用の可否を確認

札幌市の区域制限を確認

契約・管理規約を確認

消防を確認

概算費用・収支を再計算

契約を判断

という順番です。

「民泊可物件」という言葉だけで判断しない

不動産情報で「民泊可」「民泊相談可」と表示されている物件を見つけることもあるでしょう。

ただし、この言葉だけで行政上の営業可否まで保証されているとは限りません。

仲介会社、オーナー、管理会社、行政、消防では、それぞれ確認するポイントが違います。

したがって、

不動産上OK

住宅宿泊事業法上OK

札幌市条例上OK

消防法令上OK

とは限らないと考えておくことが重要です。

民泊物件契約前チェックリスト

候補物件を見つけたら、最低限次の項目を確認してみてください。

  • 住宅宿泊事業法上の住宅要件を確認した
  • 札幌市条例による営業制限区域を確認した
  • 所有者が民泊利用を認めている
  • 賃貸借契約の使用目的・転貸条項を確認した
  • 分譲マンションの場合は管理規約を確認した
  • 管理組合の民泊に対する方針を確認した
  • 消防署への事前相談を検討した
  • 必要となる消防設備を確認した
  • 消防設備費を含めて収支を計算した
  • 家主居住型・家主不在型を決めた
  • 必要な管理体制を確認した
  • ゴミ・騒音・鍵など運営方法を検討した
  • 近隣トラブル発生時の対応方法を決めた
  • 開業希望日から逆算して手続きスケジュールを作った

一つでも「分からない」があるなら、契約を急ぐ前に確認することをおすすめします。

行政書士に物件契約前から相談するメリット

行政書士への相談というと、

「物件を契約したので民泊の届出をお願いします」

というイメージがあるかもしれません。

しかし実務的には、その一段階前、

「この物件を契約しようと思っているけれど、民泊として進められそうか」

という時点で相談することにも意味があります。

特に、

  • 札幌市条例
  • 民泊届出
  • 賃貸借契約
  • オーナー承諾
  • 管理規約
  • 消防
  • 管理体制

を先に整理しておけば、契約後に問題が判明するリスクを減らせます。

当事務所では、不動産管理会社で20年以上勤務した経験を生かし、単に行政手続きだけを見るのではなく、

「不動産として、この計画をどう進めればトラブルを減らせるか」

という視点を大切にしています。

まとめ|札幌市の民泊は「物件選び」で成否が変わる

札幌市で民泊を始める場合、立地や家賃だけで物件を決めるのはおすすめできません。

特に確認したいのは、

  1. 住宅宿泊事業法上の住宅要件
  2. 札幌市条例による営業制限
  3. 賃貸借契約・所有者の承諾
  4. マンション管理規約
  5. 消防設備
  6. 家主居住型・家主不在型
  7. 管理・近隣対応

の7項目です。

不動産管理の現場では、契約後に問題が判明すると、解決するために時間も費用もかかります。

民泊でも同じです。

「契約してから、できるか調べる」のではなく、「できるか調べてから、契約する」。

この順番が非常に重要です。

札幌市で民泊用のマンション・戸建てを検討していて、

「この物件で民泊を進めて大丈夫だろうか」

「オーナーの承諾はこれで足りる?」

「消防はどの段階で相談すればいい?」

といった疑問がある場合は、物件契約前の段階からご相談ください。

行政書士 加藤昌史事務所では札幌市を中心にご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)

Q1.札幌市なら、どの地域でも民泊できますか?

一律ではありません。住宅宿泊事業法による民泊は年間180日が上限で、さらに札幌市では家主不在型など一定の民泊について、学校周辺や住居専用地域等で営業日数が制限される場合があります。候補物件の住所ごとに確認することが重要です。

Q2.札幌市の賃貸マンションでも民泊できますか?

賃貸物件だから一律にできないわけではありません。ただし、賃貸借契約、所有者の承諾、マンション管理規約、消防などの確認が必要です。

Q3.自分で所有しているマンションなら民泊できますか?

所有物件でもマンション管理規約などの確認が必要です。「自分の部屋だから自由に民泊できる」とは限りません。

Q4.「民泊可物件」なら安心して契約していいですか?

「民泊可」という不動産上の表示だけで判断することはおすすめできません。札幌市条例、住宅宿泊事業法、消防、管理規約などを個別に確認しましょう。

Q5.民泊物件を契約する前に消防署へ相談できますか?

具体的な物件・計画がある場合は、必要な資料を整理したうえで管轄消防署への事前相談を検討することが重要です。札幌市消防局も、民泊開始にあたって消防法令上の取扱いが変わることがあるため事前確認を案内しています。

Q6.民泊物件を探している段階でも行政書士に相談できますか?

はい。むしろ物件契約前に、民泊制度、札幌市条例、契約関係、消防などの確認事項を整理しておくことで、契約後のリスクを減らしやすくなります。

札幌市で民泊できる物件を探している方へ。賃貸マンション・戸建てで民泊を始める前に確認したい札幌市の営業制限、賃貸借契約、管理規約、消防設備など7つのポイントを、不動産管理経験20年以上の行政書士が実務目線で解説します。