「札幌市でマンションを借りて民泊を始めたい」
「大家さんが民泊OKと言ってくれれば営業できる?」
「普通の賃貸借契約でも、住宅宿泊事業の届出はできる?」
札幌市で民泊を始める際、物件を購入せず、マンションや戸建て住宅を借りて事業を始めたいと考える方も多いでしょう。
結論からいうと、賃貸物件でも条件を満たせば住宅宿泊事業法に基づく民泊を行える場合があります。
ただし、通常の賃貸住宅を借りて、そのまま自己判断で民泊として使用してよいわけではありません。
住宅宿泊事業の届出では、賃借人が事業者となる場合、賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾していることが確認事項となっています。転借人の場合には、賃貸人と転貸人双方の承諾が必要です。
さらに札幌市では、賃貸人・転貸人等による承諾書の参考様式も用意されています。
私は不動産管理会社で20年以上、賃貸借契約、リーシング、入居者対応、オーナー対応などに携わってきました。
その経験から特にお伝えしたいのは、
「部屋を借りられること」と「その部屋を民泊として使えること」はまったく別の問題
ということです。
この記事では、札幌市で賃貸マンション・アパート・戸建てを借りて民泊を始めたい方に向けて、オーナー承諾、転貸、賃貸借契約書、管理規約、消防など、契約前に確認すべきポイントを実務目線で解説します。
札幌市で賃貸物件を借りて民泊はできる?
賃貸物件であることだけを理由に、住宅宿泊事業法による民泊が一律に禁止されているわけではありません。
国の民泊制度では、賃借人が住宅宿泊事業を行う場合、届出事項として賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾している旨が定められています。
つまり、
「借りている住宅だから民泊ができない」
のではなく、
「所有者等の承諾を含め、必要な条件を整えているか」
が重要になります。
もっとも、オーナーの承諾だけですべて完了するわけではありません。
札幌市で実際に民泊を行う場合には、
- 住宅宿泊事業法上の要件
- 札幌市条例による営業制限
- 賃貸借契約
- オーナーの承諾
- マンション管理規約
- 消防法令
- 管理方法
なども確認する必要があります。札幌市内で宿泊料を受けてマンション等に人を宿泊させる場合、旅館業法による許可または住宅宿泊事業法に基づく届出が必要です。
【不動産管理の現場から】
賃貸物件では、募集図面に
「事務所相談可」
「ペット相談可」
「民泊相談可」
などと書かれることがあります。
ここで非常に重要なのが、「相談可」と「承諾済み」は違うということです。
不動産実務では、
「条件によっては相談できます」
という意味で募集していることもあります。
そのため「民泊相談可」という広告だけを見て、
「この物件なら民泊できる」
と考えて契約を進めるのはおすすめできません。
なぜ民泊ではオーナー承諾が重要なのか
一般的な居住用賃貸住宅は、借主本人やその家族が生活することを前提として貸し出されています。
一方、民泊では短期間で宿泊者が入れ替わります。
オーナーや管理会社からすると、
- 不特定の宿泊者が出入りする
- 鍵の管理方法が変わる
- ゴミ出しの問題が生じる可能性がある
- 騒音苦情の可能性がある
- 共用部分の利用者が変わる
- 建物設備や消防への確認が必要になる
など、通常の居住用賃貸とは管理上のリスクが異なります。
そのため、住宅宿泊事業を目的として使用することについて、所有者側の意思を明確にしておく必要があります。
「転貸」と民泊の関係
通常の賃貸借では、
オーナー → 借主
という関係です。
民泊の場合、借主がその住宅を宿泊者へ提供するため、住宅宿泊事業の届出上は、賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾しているかが確認されます。
さらに、
オーナー → 賃借人 → 転借人
という形で転借している物件を民泊に使用する場合には、賃貸人と転貸人の双方が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾していることが必要になります。
したがって、
「管理会社に聞いたら大丈夫と言われた」
だけではなく、
誰が賃貸人で、誰からどのような承諾を得る必要があるのか
を整理することが大切です。
オーナーの口頭承諾だけで大丈夫?
おすすめできません。
国の民泊制度ポータルサイトでは、賃貸借契約書に住宅宿泊事業を行える旨が明記されていない場合、賃貸人等が住宅宿泊事業を行うことを承諾したことを証する書類が必要とされています。citeturn211267search6
札幌市も、賃貸人による承諾書、賃貸人及び転貸人による承諾書の参考様式を公表しています。
つまり、
「大家さんに電話したら『いいよ』と言っていました」
ではなく、届出やその後のトラブル防止を考えると、書面にしておくことが重要です。
【20年以上の賃貸管理経験から】
不動産管理では、口頭のやり取りが後から問題になることがあります。
例えば、
借主
「オーナーから許可をもらっています」
オーナー
「民泊そのものを許可したつもりはない」
管理会社
「相談されたのは覚えているが、正式承認とは認識していない」
というように、時間が経つと認識がズレることがあります。
だからこそ、民泊のように通常の居住用とは異なる使い方をする場合には、
「何を承諾したのか」を書面に残す
ことが重要です。
これは行政手続きのためだけではなく、オーナーとの関係を守るためでもあります。
賃貸借契約書で確認したい5つのポイント
民泊用の物件を契約するときは、賃料や契約期間だけでなく、契約書の中身を確認しましょう。
1.使用目的
まず重要なのが使用目的です。
契約書に、
「居住の目的に限る」
などと書かれている場合、住宅宿泊事業を予定していることとの整合性を確認する必要があります。
民泊利用を前提として契約するのであれば、後から疑義が生じないよう契約内容を明確にしておくことが重要です。
2.転貸禁止条項
一般的な賃貸借契約では、貸主の承諾なく第三者へ転貸することを禁止する条項が設けられることがあります。
住宅宿泊事業の届出においても、賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾していることが確認事項です。citeturn211267search2
したがって、契約書の転貸条項と民泊利用に関する承諾をセットで確認しましょう。
3.工事・設備変更
民泊では消防確認の結果、設備への対応が必要になる可能性があります。
その際、
- 壁に機器を取り付ける
- 配線する
- 誘導灯等を設置する
など、物件に手を加える可能性があります。
そのような工事について、オーナーや管理会社の承諾が必要か確認しておきましょう。
4.原状回復
設備設置や内装変更を行えば、退去時の原状回復が問題になる可能性があります。
「付けてもいい」と「退去時に残していい」は同じではありません。
工事前に、
退去時に撤去するのか、残置できるのか
まで決めておくとトラブル防止につながります。
5.契約解除条項
民泊利用に関する条件を定める場合、
- 管理規約違反
- 行政上の問題
- 近隣への重大な迷惑行為
- オーナーとの約束違反
などが起きた場合の扱いについても検討しておくことが重要です。
民泊利用の承諾書には何を書けばいい?
国の制度上、特定の様式が全国一律で必須とされているわけではありませんが、住宅宿泊事業を行うことが可能である旨が明確になっている必要があります。
札幌市では参考様式が用意されているため、届出では最新の札幌市の案内を確認して使用するのが実務的です。
契約関係を明確にするという意味では、
- 対象物件
- 貸主・借主
- 住宅宿泊事業として利用すること
- 転貸についての承諾
- 工事等の条件
- 管理上のルール
などについて認識を合わせておくことが大切です。
マンションならオーナー承諾だけでは足りないことも
ここは非常に重要です。
分譲マンションの一室をオーナーから借りる場合、
その部屋の所有者が民泊OKと言っているから大丈夫
とは限りません。
区分所有建物の場合、住宅宿泊事業の届出では、管理規約に住宅宿泊事業を禁止する旨がないことなども確認事項となります。管理規約に定めがない場合には、管理組合に禁止する意思がないことを確認する書類が必要になる場合があります。
つまり、
オーナー → OK
でも、
マンション管理規約 → NG
というケースがあり得ます。
【不動産管理の現場から】
これは賃貸マンションで特に見落とされやすいポイントです。
借主からすると、契約相手であるオーナーから許可をもらえば十分だと思いやすいからです。
しかし区分所有マンションでは、
オーナー自身も管理規約に従う立場
です。
民泊物件として借りる場合には、
「所有者が承諾しているか」
と、
「マンション全体として民泊を認めているか」
を分けて確認してください。
消防設備についても契約前に確認する
賃貸物件の民泊で大きな問題になりやすいのが消防です。
札幌市では住宅宿泊事業を始める際、消防法令への適合確認が必要となり、住宅宿泊事業の届出に関連して消防法令適合通知書が必要になります。札幌市は届出を受理した民泊施設の一覧とともに、消防法上の違反公表制度の対象となった施設も公表しています。
建物条件によって必要な消防設備が変わるため、設備工事が必要になる可能性もあります。
ここで賃貸物件特有の問題が出てきます。
必要な工事が分かっても、借主の判断だけでは工事できない可能性がある
ということです。
【管理実務で特に注意したいポイント】
例えば物件を契約した後に消防確認をして、
「この設備を追加してください」
となったとします。
そこでオーナーに相談したところ、
「建物に穴を開ける工事は認めない」
「共用部分に関係するから管理組合の承認が必要」
となれば、開業スケジュールが止まる可能性があります。
その間も賃料は発生します。
だからこそ、
契約 → 消防確認
ではなく、可能な範囲で、
候補物件 → 消防確認 → 工事可否確認 → 契約
という順番に近づけることをおすすめします。
賃貸物件で民泊をするときによくある失敗
失敗1 「民泊相談可」を「民泊承諾済み」と考える
募集広告の表現だけで判断せず、正式な承諾条件を確認しましょう。
失敗2 大家さんの口頭承諾だけで進める
後から認識違いが起きないよう、住宅宿泊事業として利用することを書面で明確にします。
失敗3 賃貸借契約書を読んでいない
使用目的、転貸、工事、原状回復などを確認しましょう。
失敗4 管理規約を確認していない
分譲マンションを借りる場合、オーナーが承諾していても管理規約との関係を確認する必要があります。
失敗5 消防確認を契約後にする
設備工事費だけではなく、工事そのものをオーナーから認めてもらえるかという問題があります。
不動産管理経験から考える「オーナーに民泊を承諾してもらう」ポイント
民泊事業者側は、
「民泊を認めてもらいたい」
という立場です。
一方、オーナー側が気にするのは、
「認めた結果、どんな問題が起きるのか」
です。
そのため、
「民泊をやらせてください」
だけで交渉するより、
- どの制度で営業するのか
- 誰が管理するのか
- 苦情に誰が対応するのか
- ゴミはどう管理するのか
- 騒音をどう防止するのか
- 消防設備はどうするのか
- 設備工事はどの範囲か
- 退去時の原状回復はどうするか
まで説明した方が、オーナーも判断しやすくなります。
【オーナー対応をしてきた経験から】
不動産管理会社でオーナーへの提案をするときに重要なのは、メリットだけではなくリスクと対策を一緒に伝えることです。
「民泊なら賃料を高く払えます」
という話だけでは、オーナーの不安は消えません。
むしろ、
「こういうリスクがあります。そのため、このように管理します」
と説明できる事業者の方が、オーナーとしても検討しやすくなります。
不動産管理では、問題が起きたときの対応より、問題が起きる前のルール作りが大切です。リーシング、契約、クレーム対応、記録化を重視する考え方は、民泊管理にもそのまま通じます。
札幌市で賃貸物件を民泊にする前のチェックリスト
- 住宅宿泊事業法による民泊として進めるか確認した
- 札幌市条例による営業制限を確認した
- 物件所有者を確認した
- オーナーが住宅宿泊事業としての利用を承諾している
- 必要な転貸承諾を得られることを確認した
- 承諾内容を書面化した
- 賃貸借契約書の使用目的を確認した
- 転貸禁止条項を確認した
- 工事・造作に関する条項を確認した
- 原状回復条件を確認した
- 分譲マンションの場合は管理規約を確認した
- 管理組合の民泊に対する方針を確認した
- 消防について事前確認した
- 必要となる消防設備を確認した
- 設備工事についてオーナー承諾を確認した
- 家主不在型の場合の管理体制を確認した
- ゴミ・騒音・鍵の管理方法を決めた
- 近隣苦情への対応方法を決めた
- 消防設備費や管理費を含めて収支計画を作った
行政書士には物件契約前に相談する
民泊の行政書士業務というと、
「物件を契約した後に届出を依頼する」
というイメージがあるかもしれません。
しかし、賃貸物件を利用した民泊では、契約前に確認する価値が非常に大きいと考えます。
例えば、
「この契約書のまま民泊利用してよいのか」
「オーナー承諾書はどのように準備すればいいのか」
「転貸関係が複雑で誰の承諾が必要かわからない」
「消防設備工事を契約前に確認したい」
という問題があります。
契約後に問題を発見すると、
民泊営業が始められないのに家賃だけ支払い続ける
という状況になりかねません。
当事務所では、不動産管理会社で20年以上勤務した経験を生かし、単なる届出書の作成だけでなく、
「賃貸物件として、この民泊計画をどう進めればトラブルを減らせるか」
という視点を重視しています。
まとめ|札幌市の賃貸民泊は「オーナー承諾+契約+消防」を契約前に確認
札幌市で賃貸マンション・アパート・戸建てを借り、住宅宿泊事業法による民泊を行える場合はあります。
ただし、
部屋を借りることができた=民泊営業ができる
ではありません。
特に確認したいのは、
- オーナーが住宅宿泊事業を承諾しているか
- 必要な転貸承諾を得られるか
- 賃貸借契約書の使用目的・転貸条項
- マンション管理規約
- 消防設備・工事の可否
- 原状回復条件
- 管理・近隣対応
です。
不動産管理の現場では、契約後に「聞いていなかった」「そういう意味で許可したのではない」という話になると、解決に時間がかかります。
民泊では特に、
口頭ではなく書面
契約後ではなく契約前
を意識することが重要です。
札幌市で賃貸物件を使った民泊を検討していて、
「この物件を契約して大丈夫だろうか」
「大家さんからどんな承諾書をもらえばいい?」
「賃貸借契約書に民泊についてどう書けばいい?」
という場合には、物件契約前からご相談ください。
行政書士 加藤昌史事務所では札幌市を中心にご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
Q1.札幌市で賃貸マンションを借りて民泊できますか?
条件を満たせば可能な場合があります。ただし住宅宿泊事業の届出では、賃借人の場合、賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾していることが確認されます。
Q2.大家さんが口頭でOKと言えば民泊できますか?
口頭だけで進めることはおすすめできません。賃貸借契約書に住宅宿泊事業が可能である旨が明記されていない場合、承諾を証する書類が必要になります。札幌市も承諾書の参考様式を公表しています。
Q3.「転貸禁止」と書いてある賃貸物件では民泊できませんか?
住宅宿泊事業では賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾していることが重要です。契約書の条項だけを自己判断せず、具体的な民泊利用について貸主との承諾関係を整理する必要があります。
Q4.オーナーが承諾すれば分譲マンションでも民泊できますか?
それだけでは足りない場合があります。区分所有建物では管理規約等についても確認が必要です。住宅宿泊事業を禁止する規定や管理組合の方針を確認してください。
Q5.民泊用の賃貸借契約書を作った方がいいですか?
住宅宿泊事業として使用すること、転貸承諾、工事、原状回復、管理上の条件などを明確にすることには大きな意味があります。既存の契約書へ特約を追加する方法なども考えられるため、物件や契約関係に応じて検討します。
Q6.契約後に消防設備工事が必要とわかったらどうなりますか?
必要な設備は建物条件によって異なります。また賃貸物件では設備工事についてオーナーや管理側の承諾が必要になる可能性があります。契約前に可能な範囲で消防上の確認を行うことが重要です。
Q7.賃貸民泊について物件を契約する前でも行政書士に相談できますか?
はい。むしろ、オーナー承諾、賃貸借契約、管理規約、消防などを契約前に整理することで、契約後に営業できないリスクを減らしやすくなります。
メタディスクリプション
札幌市で賃貸マンション・戸建てを借りて民泊できる?住宅宿泊事業の転貸、オーナー承諾書、賃貸借契約書、管理規約、消防設備の注意点を、不動産管理経験20年以上の行政書士が実務目線でわかりやすく解説します。
参考
国土交通省
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/procedure.html?utm_source=chatgpt.com
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/procedure_doc.html?utm_source=chatgpt.com
札幌市
https://www.city.sapporo.jp/keizai/kanko/minpaku/20190409before.html?utm_source=chatgpt.com
https://www.city.sapporo.jp/keizai/kanko/minpaku/20190409before.html?utm_source=chatgpt.com